この世界記録魚は、偶然の産物として釣れたものではありません。釣り上げた栗田学氏は、琵琶湖に潜む巨大魚のみをターゲットに据え、長年独自のサイトフィッシングとヘビータックル理論を研ぎ澄ましてきた筋金入りのモンスターハンターでした。
巨大バス捕獲の経緯を振り返ると、その日、栗田氏は琵琶湖大橋の橋脚周りに群れるベイトフィッシュと、水面直下・サスペンドする巨大な黒い影をサイトフィッシング(目視)で捉えていました。警戒心が極限まで高まった老獪な怪魚に対し、栗田氏が選択した世界記録ヒットルアーは、人工的なハードプラグではなく、現地で調達した「生きたブルーギル」の泳がせ釣り仕掛けでした。
一部のルアー釣り至上主義者の間では「ルアーではなく生き餌なのか」という議論が巻き起こったものの、国際機関であるIGFAの公式レギュレーションにおいて、適切なフックシステムを用いた生餌の使用は完全に合法なスポーツフィッシングとして認められています。
使用されたタックルセッティングは、怪魚の猛烈な突進を力でねじ伏せるための超強靭な仕様でした。ロッドにはデプス社の怪魚専用ロッド「サイドワインダー(The Dom Driver HGC-77XS)」、リールにはシマノのハイギアベイトリール、ラインには東レの極太フロロカーボンライン(25ポンド)が組まれていました。橋脚のコンクリートストラクチャーに擦られれば一瞬でブレイクする危険地帯から、栗田氏は卓越したロッドワークと強靭な巻き上げ力でわずか数分のうちに怪魚を浮上させ、ランディングへと持ち込んだのです。