当時のSNS投稿や旅行記ブログ、口コミサイトの記録を精査すると、2019年5月1日前後の現場は、まさに「動かない車列の回廊」と化していました。中央自動車道の恵那山トンネルを抜けた園原IC出口を先頭に、本線車道までハザードランプを点灯させた車が数キロにわたって滞留する異様な光景が広がったのです。
「朝6時半に中央道を下りようとしたが、IC出口ゲートの手前から全く進まない。会場の駐車場にたどり着いたのは午前10時過ぎだった」
「子どもが車内でぐずり、途中で引き返そうにも山道の一本道でUターンすらできない。コンビニやトイレもなく、絶景を見る前に疲弊しきった」
現地を訪れたドライバーの生々しい手記からは、山間部特有の隘路(あいろ)が引き起こすボトルネックの凄まじさが伝わってきます。花桃の里へのアクセス道である県道477号線は道幅が狭く、大型観光バスのすれ違いや駐車場待ちの右折待ち車両が1台発生するだけで、後続数百台の流れが完全に寸断されます。
現場を警備していた地元関係者の回顧録でも、「駐車場約2,000台分は午前7時前に満杯となり、周辺の臨時スペースも即座に埋まった。これ以上の受け入れは物理的に不可能という極限状態だった」と語られています。美しすぎる満開の絶景と、インフラの限界という残酷なコントラストが浮き彫りになった瞬間でした。