胡蝶蘭を育てる過程で「もう枯れてしまった」と早合点され、捨てられてしまう個体が少なくありません。ネット上には「葉が黄色くなったら終わり」「根が黒ずんだら手遅れ」といった不正確な情報が氾濫していますが、植物生理学に基づいた胡蝶蘭寿命と枯れた見分け方の基準を持っていれば、瀕死に見える株も救出できます。
まず確認すべきは、葉の中心部にある「成長点(クラウン)」です。下の方の古い葉が黄色くなってポロリと落ちるのは、植物の自然な新陳代謝(世代交代)であり全く問題ありません。しかし、中心部の新芽が出るクラウン部分が黒くドロドロに溶けていたり、完全に乾涸らびてポロリと抜け落ちてしまっている場合は、残念ながら再生不能のサインとなります。逆に、一番上の中心葉が固く緑を保っている限り、下の葉がすべて落ちて根が傷んでいても復活の可能性は残されています。
根の状態についても誤解が目立ちます。健康な根は水を吸うと鮮やかな緑色になり、乾くとシルバーがかった白緑色になります。茶褐色に変色していても、指でつまんで硬さがあれば生きています。中身がスカスカで皮と芯だけになっている根や、触るとブヨブヨと潰れて異臭を放つ根だけが「真の死んだ根」です。
もし根腐れを起こしていた場合の、現場仕込みの胡蝶蘭根腐れの復活方法は以下の通りです。
植え替え時に株を抜き取り、古い水苔をピンセットなどで優しく完全に取り除きます。消毒したハサミで、中身が抜けたスカスカの根や黒く腐った根を根元からすべて切り落とします。健康な硬い根だけを残し、もし根が1〜2本しか残らなくても諦める必要はありません。切り口を数時間風通しの良い日陰で乾かした後、メネデールなどの植物活力剤を規定量に薄めたぬるま湯に根を30分ほど浸し、水苔を固く絞って小さめの素焼き鉢にふんわりと植え直します。その後は2〜3週間一切水やりを断ち、直射日光の当たらない明るい日陰で葉水(霧吹き)のみで湿度を保つと、驚くべき生命力で新しい白い根(新根)がクラウン付近から突き出してきます。