運動失調は初期において非常に緩やかに進行するため、患者本人が無意識にかばう動作を身につけてしまい、発見が遅れがちです。家庭で客観的に身体の運動制御能力を確認するため、脊髄小脳変性症セルフチェック方法として臨床現場でも応用される代表的な動作確認項目をまとめました。
- 直線歩行(継ぎ足歩行)テスト:床のフローリングの継ぎ目や直線の上に、前の足のかかとに後ろの足のつま先をぴったりとくっつける形で、一直線に10歩歩行できるか。バランスを崩して横に大きくよろめく場合は小脳機能の低下が疑われます。
- 指鼻試験(指と鼻の往復動作):腕を前にまっすぐ伸ばした状態から、自分の人差し指を素早く正確に鼻の頭につけられるか。目標に近づくほど指先が小刻みに揺れたり、鼻を通り越してしまったりする現象(測定障害)がないか確認します。
- 手の回内・回外反復試験:両手を前に出し、手のひらを上・下・上・下と素早くひっくり返す動作を繰り返した際、動きが滑らかに追従せず、ぎこちなく引っかかるか。
- 日常生活動作の微細な変化:ワイシャツのボタン掛けに時間がかかる、ペットボトルのキャップを開ける際に手が震える、文字を書くと以前より不揃いで大きくなる(巨書症)。
もしこれらのチェックで複数の項目に該当する場合、放置は禁物です。脊髄小脳変性症脳神経内科受診の目安としては、「ふらつきや発音の違和感が数週間から数か月以上持続している」「耳鼻科で『耳の内耳機能に異常はない』と診断されたにもかかわらず歩行が安定しない」「飲酒していない朝一番でも足元がふらつく」といった段階に至った時点で、速やかに専門医の診察を受ける必要があります。 受診科目は、整形外科や一般的な内科ではなく、中枢神経の専門領域である「脳神経内科(神経内科)」を選択することが確定診断への最も確実なルートです。