なぜ、6月の梅雨の製作はこれほどまでに2歳児の心を捉えて離さないのでしょうか。その深層には、2歳児特有の乳児発達の理由と心理学的メカニズムが密接に連動しています。発達心理学において、2歳前後は「感覚運動的知能」から「象徴機能(見立て・つもり遊び)」への過渡期にあたります。子どもたちは自分の手で加えた力が、物理的な痕跡として目の前に現れる「因果関係の発見」に強い快感を覚える時期です。
雨が降り続く薄暗い室内において、鮮やかな色彩の絵の具や質感の異なる素材に触れる体験は、抑制されがちな子どもの五感をダイレクトに刺激します。ある都内の認可保育園で主任保育士を務めるベテラン職員は、現場での実感を次のように打ち明けます。
「1歳児の頃は保育者の真似をすることが中心でしたが、2歳児になると『私が押したから青くなった!』という全能感に満ちた笑顔を見せます。この『自分が世界に影響を与えられた』という確信こそが、集中力を途切れさせないエネルギー源なのです」
つまり、子どもが夢中になる本質は、完成品そのものの美しさではなく、「自分の身体運動が視覚的・触覚的な驚きへと瞬時に変換されるプロセス」にあります。外に出られないフラストレーションが、素材をちぎる、叩く、塗るといった動作を通じて建設的に発散されるため、雨の季節特有の落ち着きのなさが解消される効果も現場から報告されています。