精神科や心療内科の診療指針において、抗うつ薬(SSRI)やベンゾジアゼピン系抗不安薬は急性期の症状を抑え込むための強力な武器です。しかし、ふらつき、日中の眠気、依存性への懸念から、補助療法や減薬時のステップとして虚証の体質改善漢方薬が積極的に検討される場面が増えています。
とりわけ桂枝加竜骨牡蛎湯 パニック障害の周辺領域における評価は、発作そのものを即座に遮断する頓服薬というよりも、「発作が起きるのではないか」という予期不安や、人混み・閉所に入った瞬間に心拍数が跳ね上がる知覚過敏状態の下地を緩和する点にあります。東洋医学ではこれを「驚悸(きょうき)」や「奔豚気(ほんとんき)」と呼び、下腹部から何かが突き上げてくるような身体感覚を鎮静させる標的薬として桂枝加竜骨牡蛎湯が活用されてきました。
また、桂枝加竜骨牡蛎湯 不眠症の改善においては、睡眠薬のように脳の覚醒中枢を強制停止させる機序とは本質的に異なります。「疲れているのに神経が昂って眠れない」「夢ばかり見て眠りが浅い」「物音ひとつで目が覚める」といった、交感神経過緊張型の睡眠障害に対して、心拍と血流の偏りを調整することで自然な入眠閾値を引き下げます。日本睡眠学会関連の臨床報告でも、軽度睡眠障害を持つ神経衰弱傾向の患者群において、自覚的な睡眠深度スコアや中途覚醒頻度の改善が確認されています。