『ONE PIECE』の誕生日設定を語る上で欠かせないのが、単行本コミックス巻末の読者コーナー「SBS」における独自の決定プロセスです。日本の漫画史において、これほど多くの公式設定が読者の発案によって公式キャノン(正史)へと昇格した例は他にありません。
連載初期のコミックス第4巻や第10巻前後から始まったこの現象は、読者がハガキで「〇〇の誕生日は語呂合わせで〇月〇日というのはどうでしょう?」と提案し、尾田氏が「勝手に決めんな!……でもいい語呂だから決定!」と軽妙なツッコミとともに承認するスタイルで定着しました。この「作者とファンの共同作業」とも呼べるやり取りが、作品世界の余白を読者自らが埋めていく参加型コミュニティを形成したのです。
その後、2010年代以降に刊行された公式ファンブック『VIVRE CARD〜ONE PIECE図鑑〜』や、集英社が運営する公式ポータルサイト『ONE PIECE.com』内の「365日キャラクター誕生日カレンダー」によって体系化が進められました。現在では、モブキャラクターや動物、一コマしか登場しない海軍将校に至るまで誕生日が網羅され、名実ともに「1年365日すべてがワンピースのキャラクターの誕生日」という驚異的な規模へと拡張されています。