2009年秋、アニメ界に激震が走った。13年間にわたり毛利小五郎役を演じ続けた初代声優・神谷明氏が、自身のブログで突如として降板を発表したのだ。当時、解禁されたニュースは瞬く間に全国へ広まり、ネット上では様々な憶測が飛び交う事態となった。
降板の直接的なきっかけは、制作関係者との契約交渉における意見の食い違いにあったとされている。神谷氏は長年、声優の地位向上や権利保護に対して極めて真摯に向き合ってきた人物だ。作品や制作陣に対する深い愛を持ちながらも、妥協できない信条との間で苦渋の決断を下したのが真相と言われている。
原作者の青山剛昌氏をはじめ、出版元の小学館、放送を担う読売テレビ、アニメーション制作を担当するトムス・エンタテインメントなど、巨大プロジェクトに関わるスタッフにとっても、この決断は大きな試練となった。しかし、神谷氏が遺した圧倒的なキャラクター像は消え去ることなく、次代へと確実に引き継がれることとなったのである。