自暴自棄となり江戸の街で暴れていた狛治を拾ったのが、素流(そりゅう)拳法の使い手・慶蔵だった。慶蔵は荒れる狛治を受け止め、病弱な娘・小雪の看病を託す。
最初は心を閉ざしていた狛治。しかし、身体が弱く外に出られない小雪と接するうちに、彼の心に変化が芽生える。看病の日々。少しずつ回復していく小雪の笑顔。慶蔵の温かな指導。狛治にとって、それは生まれて初めて触れた「誰かに必要とされる喜び」だった。
「来年の花火も、一緒に見に行こう」
小雪からの求婚を受け入れ、道場を継ぐ決意を固めた狛治。手首の罪人の証を隠すかのように巻き直された帯。彼の人生には、確かに幸福な光が射し込んでいたはずだった。