事件の発端は、首相官邸で記者団の取材に応じた野村哲郎農林水産相(当時)の短い回答だった。岸田文雄首相(当時)との協議内容を記者団に説明する際、あろうことか「処理水」を「汚染水」と言い間違えたのだ。海洋放出の安全性と妥当性を国内外に向けて精力的にアピールしていた政府にとって、身内である主務大臣の足並みの乱れは痛恨の極みであった。
この発言はすぐさま各メディアのニュース速報として日本全国へ駆け巡り、SNS上のX (旧Twitter)でもトレンドの上位を独占する大騒動へと発展した。政府が科学的根拠に基づいて「ALPS処理水」という呼称の定着を図り、国際社会の理解を得ようと苦心していた最中だけに、与野党双方から「当事者意識が決定的に欠如している」との厳しい批判が相次いだ。