家庭内の工夫をどれだけ凝らしても、骨の構造自体が成長を終えてしまっていれば身長はそれ以上伸びません。身長が伸びる医学的な根拠は、長管骨の両端にある軟骨部分「骨端線(こったんせん)」の存在です。
成長期の子どもの手首や膝などをX線撮影(レントゲン)すると、大人の骨とは異なり、骨と骨の間に隙間のような透明な層が確認できます。これが骨端線です。軟骨細胞が活発に増殖して骨化することで骨が縦に長くなりますが、思春期後半に性ホルモンの分泌が増加すると、やがて骨端線は完全に閉鎖(硬化)します。骨端線の確認とレントゲン検査を行えば、その子の骨年齢と残された「伸びしろ」を客観的に診断することが可能です。
また、成長の遅れが病的な要因(成長ホルモン分泌不全性低身長症、ターナー症候群、甲状腺機能低下症など)によるものである場合、家庭の努力だけで解決することは不可能です。以下の基準に該当する場合は、ためらわずに低身長外来の受診目安として検討してください。
- 学校の健康診断で作成される成長曲線で、身長が「-2SD以下」に位置している(同性・同年齢の集団で下位約2.3%に含まれる基準)。
- 過去1年間の身長の伸びが4cm未満であり、成長曲線が右肩下がり(または横ばい)になっている。
- 同年代の平均と比較して、明らかに第二次性徴が早すぎる、あるいは遅すぎる。
成長ホルモン治療などの医学的介入が必要な場合、骨端線が閉じる前の早い段階で治療を開始しなければ十分な効果が得られません。母子手帳からの記録をもとに学校の身体測定データをプロットした「成長曲線」を持参し、専門の小児内分泌医へ相談することが最善の選択肢となります。