どれほど嘘を重ねて素性を隠そうとも、悪行の数々はいつしか法の手によって暴かれることになります。各地で盗みと殺人を繰り返していた半天狗は、ついに町奉行所に捕縛されました。取り調べの場においても、彼の歪んだ他責思考は遺憾なく発揮されることになります。
奉行から重ねてきた数々の罪状を厳しく追及された際、半天狗は涙を流しながら次のように主張しました。「儂がやったのではない、この手が勝手にやったのだ」「儂は目が見えぬ哀れな盲人、悪いのは手だ」。自らの意志で行った殺傷を、あたかも身体の一部が勝手に暴走したかのように語り、徹底的に責任逃れを図ったのです。
しかし、当時の奉行は半天狗の浅ましい虚言を一切信用しませんでした。法に基づき、奉行は冷徹に言い放ちます。
「その両手を切り落とした上で、打ち首の刑に処す」
翌日の処刑を控え、牢獄の中で死の恐怖に震え上がっていた半天狗の前に現れたのが、鬼の始祖である鬼舞辻無惨でした。無惨から血を与えられた半天狗は鬼として覚醒し、自らを裁いた奉行所に逆襲を仕掛けます。半天狗は自分を裁こうとした奉行を惨殺しますが、その奉行は絶命の間際、鬼となった半天狗に向かって決定的な言葉を遺しました。
「貴様がどれほど被害者ぶろうと、その悪業はいずれ必ず罰を受ける」
この奉行の遺言は呪いのように半天狗の魂に刻み込まれ、数百年後の刀鍛冶の里における炭治郎の刃によって、完全に成就することとなりました。