テレビ番組のひな壇やYouTube、TikTokなどの縦型動画コンテンツが普及したことで、芸人に求められる「視覚的ファーストインプレッション」の重要度は過去最高に高まっています。情報過多のタイムラインにおいて、視聴者の指を止めさせるためには、開始0.5秒で誰であるかを認識させるシルエットが不可欠だからです。
お笑い芸人が髪を伸ばす理由を取材・調査すると、主に3つの類型に集約されます。
第1に「先輩・同期からの客観的プロデュース」です。代表例がトム・ブラウンの布川ひろきで、売れない地下芸人時代にオードリーの若林正恭から「布川は背が高くて顔も特徴的だから、髪を伸ばして奇人感を出した方がいい」と助言を受けたことがブレイクの決定打となりました。
第2に「強烈なキャラクター性のアイコン化」です。ロッチの中岡創一のように、天然パーマのロン毛とメガネ、小柄な体躯が合わさることで、どんな過酷なリアクション芸でも「愛嬌と哀愁」へと変換される独自の免罪符が生まれます。
第3に「ギャップによるイケメン化・おしゃれ化」です。見取り図の盛山晋太郎のように、昔の短髪ガチムチ体型からロングヘアのパーマスタイルへと移行したことで、色気のある大人の男性としての支持を獲得し、女性誌のグラビアやファッション企画へ活動領域を広げたケースが挙げられます。