圧力鍋調理において、絶対に守らなければならない安全上の鉄則があります。それは「カレールーを入れた状態でフタを閉めて加圧してはならない」という点です。これは単なる味付けの失敗にとどまらず、火傷やキッチンの破損に直結する物理的な危険を伴います。
独立行政法人製品評価技術基盤機構(NITE)や大手調理器具メーカー各社が繰り返し注意喚起を行っている通り、カレールーやシチュールーに含まれるデンプン・増粘剤・油脂類は、高温加熱によって強い粘性を生み出します。この粘液が沸騰時に激しく発泡すると、フタの内側にある安全弁(ノズル)や圧力調整弁の微細な穴を物理的に塞いでしまうリスクが急上昇します。
蒸気ノズルが閉塞すると鍋内部の圧力が設計限界を超えて異常上昇し、安全装置が作動した瞬間に高温のカレー液が周囲数メートルにわたって爆発的に噴出したり、ピンが下がらないまま無理にフタを開けようとして重度の火傷を負ったりする事故へ繋がります。
圧力鍋における正しい調理手順は以下の2ステップです。
ステップ1:肉・野菜・水・調味料(ローリエ等)のみを鍋に入れ、フタをロックして加圧調理を行う。
ステップ2:ピンが完全に下がり切ったことを確認してフタを開け、火を止めた状態でカレールーを割り入れ、弱火で5〜10分ほど軽くとろみがつくまで煮込む。
この順序を遵守することが、事故を防ぎつつルーの豊かな香りを飛ばさずに仕上げる唯一の方法です。