東京湾の海底地形は極めて複雑で、すり鉢状の落ち込みや隠れ根が点在する。この難所を攻略する上で絶大な信頼を集めるのが石川船長の手腕だ。魚探の反応だけでなく、潮のヨレや風の吹き出し方を肌で感じ取り、船足をピタリと群れの真上に据え付ける神業を披露する。
「はい、どうぞ。水深65メートル、上から50メートルまで探ってみて」。石川船長のマイクアナウンスは常に明快で、同乗するアングラーに迷いを与えない。魚群の移動速度に合わせた細やかな微速前進と舵取りによって、船中のライン角度が美しく平行に保たれ、オマツリ(糸絡み)のリスクを最小限に抑えながら快適な釣行を支えている。