日本のドラマ史において、劇伴を超える存在感で社会現象となった金字塔といえば、TBS金曜ドラマ『アンナチュラル』の主題歌「Lemon」を外すわけにはいかない。遺体解剖医たちのドラマを描くシリアスな展開の中、死者の無念と残された者の葛藤にそっと寄り添うように流れる旋律は、文字通り日本中を包み込んだ。ドラマの放送直後から各種チャートを席巻し、ミュージックビデオの再生回数は破格の数字を記録。音楽制作の段階で監督や脚本家の意図を極限まで汲み取り、作品の魂として結実させた希有な例といえる。
一方で、社会現象という点において対極のポップさと多幸感で日本中を躍らせたのが、ドラマ『逃げるは恥だが役に立つ』の主題歌「恋」だ。エンディングでキャスト陣が披露する「恋ダンス」は、YouTubeやSNSを通じて爆発的に拡散。観る者・聴く者を巻き込む参加型のムーブメントを形成した。単に聴く音楽にとどまらず、エンターテインメント体験として生活者の日常に溶け込んだこの楽曲は、その後のドラマ主題歌のプロモーション手法そのものを根底から塗り替えた。