どれほど優れた薬剤であっても、単体で起立性調節障害を完治させることは難しい。薬物療法と平行して行うべき物理的アプローチや生活習慣の改善が、薬のポテンシャルを最大化させる。
水分および塩分の積極的な摂取は基本中の基本だ。医師の指導のもと、1日1.5〜2Lの水分と適度な塩分を摂ることで循環血液量を増やす。また、医療用着圧ソックス(弾性ストッキング)や腹帯の着用は、下半身への静脈血の貯留を物理的に防止する。近年では、ウェアラブル端末を用いた自律神経データの可視化と連動したデジタル行動療法(DTx)も実用化されており、起床前の脚のアイソメトリック運動(筋肉に力を入れる動作)などを組み合わせることで、薬だけに依存しない自立した回復プロセスが構築されている。