一方、関西の基準は「小豆の粒が残っているかどうか」に尽きる。ここには、出汁文化にも通じる「素材の食感と風味」への強いこだわりが見て取れる。関西では、こし餡で作った滑らかな汁物を「おしるこ(汁粉)」と呼び、粒餡で作った小豆の食感を楽しむ汁物を「ぜんざい(善哉)」と呼ぶ。
「粒が残っているかどうかで名前が変わるなんて面倒だ」と思うかもしれない。しかし、関西人にとってこれは譲れない一線だ。小豆の粒一つひとつのふっくらとした食感を楽しむことこそが「ぜんざい」の醍醐味であり、それを「おしるこ」と混同されるのは耐え難いのである。なお、関西には「亀山」と呼ばれる、関東の「ぜんざい(汁なし)」に相当するメニューも存在し、事態をさらに複雑にしている。