なぜ彼女は、世間からの激しい批判に晒されても自身の表現スタイルを曲げないのか。その背景には、彼女が歩んできた独自のキャリアと美意識が深く関わっています。
1990年10月15日、アメリカ・テキサス州で生まれ、兵庫県神戸市で育った水原希子さん。2003年にファッション誌『Seventeen』の専属モデルオーディションでミスセブンティーンに選ばれモデルデビューを果たしました。その後『ViVi』の専属モデルを経て、2010年にはトラン・アン・ユン監督の映画『ノルウェイの森』で小林緑役に抜擢され、女優としても鮮烈なデビューを飾ります。
国内外のコレクションでハイブランドのランウェイを歩く中で、彼女が培ったのは「身体は衣服や世界観を表現するための究極のキャンバスである」というプロフェッショナルな視点でした。露出度の高いモデル衣装やシースルー素材、前衛的なデザインを着こなす際にも、彼女にとって肌を見せることは決して性的な誘惑のためではなく、フォルムや造形美の一部に他なりません。
写真集やアートブックの制作においても、レスリー・キー氏をはじめとする世界的なクリエイターたちとセッションを重ね、自らの肉体をアートとして提示し続けてきました。「恥ずかしいから隠す」「女性の身体はみだりに見せてはならない」というドメスティックな規範に対し、彼女は生まれ持った身体そのものを肯定する「ボディポジティビティ」の価値観を誰よりも早く体現していたと言えます。