なぜ現場の「負傷搬送」がネット上では「死亡」へと書き換えられてしまったのか。そこには、SNS時代特有の情報の歪曲構造と、現場の特殊な地理的条件が深く関係しています。
道志村キャンプ場周辺は、観光地としての長閑なイメージとは裏腹に、一歩尾根や沢筋に入ると斜度40度を超える急峻な崖や滑落危険箇所が無数に存在する過酷な地形です。山岳救助のプロですら命綱を要する危険地帯に、登山経験の乏しい一般市民が軽装で立ち入る事態が多発しました。
当時、匿名掲示板「5ちゃんねる」やTwitter(現X)では、「救急車のサイレンが鳴り止まない」「崖下に倒れている人が見つかったらしい」といった断片的な現場投稿が投下されました。これらの投稿を、一部のバイラルメディアやアフィリエイトブログがPV(閲覧数)稼ぎのためにセンセーショナルな見出しでまとめ上げたことが、デマ定着の決定的なトリガーとなったのです。