新天町の再開発が進まない理由を、単なる「商店街の衰退」で片づけてはいけない。最大の障壁は、所有権と権利関係の複雑さだ。新天町は戦後の復興過程で形成された経緯から、土地と建物の所有が分離しているケースや、複数人での共有持分が存在するケースが多いとされる。都市部の再開発で常に問題となる「地権者間の合意形成」が、新天町では特に難航しやすい構造がある。
加えて、2026年から2026年にかけての建設費高騰と金利上昇が、事業採算性に影を落としている。仮に再開発に踏み切っても、完工後のテナント賃料が建設コストに見合う水準になる保証はない。福岡市内では天神ビッグバンによる再開発ラッシュが続いており、オフィスビルや商業施設の供給過多も懸念されている。つまり新天町は、「やるなら今」というタイミングを逃しつつあり、かといって現状維持では集客力がさらに低下するという二重のジレンマを抱えているのだ。