落ち物パズルの原点にして頂点に君臨する『テトリス』は、1984年6月6日、旧ソ連のアカデミー科学技術センターに勤務していた研究者アレクセイ・パジトノフ氏の手によって生み出されました。当時同氏が使用していたテキスト表示専用コンピュータ「エレクトロニカ60」上で、文字記号の「[ ]」を組み合わせて正方形を作り、画面下部に落として列を揃える実験プログラムがすべての始まりでした。
当時の様子について、パジトノフ氏は海外メディアの回顧録や特番インタビューの中で「一度コードが完成してブロックが落ち始めた瞬間、デバッグ作業を忘れて何時間もプレイし続けてしまった。その時にこのゲームが持つ計り知れない魔力を確信した」と述懐しています。冷戦下の鉄のカーテンを越えて西側に渡った本作は、1989年に任天堂がゲームボーイ版を発売したことで世界的大ヒットを記録。全世界で累計5億本以上(公式ライセンス商品合算)を売り上げるという、ゲーム史に残る金字塔を打ち立てました。
80年代末から90年代初頭にかけては、ヘンク・ロジャース氏らによる版権交渉劇というドラマも相まって、知的財産としての地位を確立。シンプルな矩形(テトロミノ)を隙間なく敷き詰めるという普遍的な快感は、国境やイデオロギー、世代の壁を完全に無力化したのです。