那田蜘蛛山編において、蟲柱・胡蝶しのぶから放たれた「そんなだからみんなから嫌われるんですよ」という痛烈な一言に対し、義勇が放った「俺は嫌われてない」というセリフは、作品屈指の珍場面として読者に強烈なインパクトを残しました。
ファンコミュニティやSNSでは長年ネタとして愛されていますが、この発言の背景には義勇特有の「言葉の極端な省略」と「自己肯定感の歪み」が絡み合っています。
柱合会議において義勇が放った「俺はお前たちとは違う」という発言は、風柱・不死川実弥や蛇柱・伊黒小芭内の激しい怒りを買いました。実弥たちは「自分たちを見下している傲慢な態度」と受け取りましたが、義勇の本意は「自分は実力で柱になったわけではないから、皆のように優秀な人間と同列に並ぶ資格がない」という自虐的なへりくだりでした。主語や理由を一切説明しない不器用すぎる気質が、周囲との致命的なすれ違いを生んでいたのです。
一方で、胡蝶しのぶとの関係は決して険悪なものではありませんでした。公式外伝『冨岡義勇 外伝』(平野稜二・画)やファンブックの描写によれば、しのぶは義勇の孤立を気にかけて積極的に声をかけており、義勇側もしのぶに対して一定の信頼を寄せていました。好物の「鮭大根」を食べる際に見せる無防備な笑顔など、義勇の内面には本来、非常に素朴で温厚な人間性が宿っています。