Aqua Timez「虹」の歌詞の意味を紐解くとき、最も際立つ特徴は「安易なポジティブの押し付け」を徹底して排除している点にあります。一般的な応援ソングが「前を向け」「頑張れ」と背中を押すのに対し、太志が紡ぎ出した言葉は、まずリスナーの立ち止まった足元とこぼれた涙を全肯定することから始まります。
当時の音楽雑誌のインタビューや手記において、太志は楽曲制作時の心境について「強い人間なんていない。自分自身が誰よりも弱く、迷いながら生きているからこそ、同じように痛みを抱える誰かの隣に座り込むような歌を書きたかった」と語っています。サビで繰り返される「大丈夫」というフレーズは、上からの励ましではなく、「泣いてもいい、弱音を吐いてもあなたの価値は消えない」という無条件の受容を意味しているのです。
楽曲のクライマックスで描かれる「七色の虹」は、雨が降らなければ決して空に架かりません。苦悩や葛藤という「雨」を経験した人だけが、自分だけの美しい色を見出せるという逆転の人生哲学が、平易で温かな日本語によって緻密に構築されています。