目黒不動尊の門前で60年以上にわたり絶大な支持を集める背景には、徹底した素材へのこだわりと職人技の継承があります。同店で使用される鰻は、東京・千住の老舗川魚問屋「松本」から直接仕入れる、厳格に吟味された最高級の国産鰻のみです。
調理工程においては、関東風の伝統である「素焼き・深蒸し・本焼き」のプロセスを踏みながらも、炭火には最高品質の「紀州備長炭」を惜しみなく使用しています。備長炭特有の強い遠赤外線で外側を一気にパリッと香ばしく焼き固め、深蒸しによって余分な脂を落としつつ、身の内部に旨味と水分をしっかりと閉じ込めます。
創業期から継ぎ足されてきた秘伝のタレは、下町風のキリッとした辛汁ではなく、ふくよかなコクと奥深い甘みのバランスが絶妙に保たれています。箸を入れた瞬間にスッとほぐれる柔らかな身と、炭火特有の燻香が口いっぱいに広がる瞬間こそ、名店と称される最大の論拠です。