髭男爵としてのブレイクは一瞬だった。テレビのゴールデン番組を席巻したのも束の間、世間の流行は移り変わり、いつしか「一発屋」の烙印を押される。だが、彼はそこで腐らなかった。むしろ、その自虐的なポジションを徹底的に客観視し、エンターテインメントへと昇華させたのだ。
著書などで描かれたのは、スポットライトの裏側にある泥臭い現実だ。世間から「オワコン」と嘲笑されながらも、地方の営業や地道な活動で食い繋ぐ芸人たちの姿を、彼は冷徹かつ愛情深く描き出した。敗者復活戦すらない社会において、どうにかして生き残るための知恵が、そこには詰まっている。