体育館の片隅で、突き指をしたチームメイトの指を思い切り引っ張る光景を目にしたことがある方は少なくないはずです。しかし、スポーツ医学の観点から断言すれば、この民間療法は百害あって一利なしの極めて危険な行為です。バレーボールにおける突き指の正体は、指の関節を支える側副靭帯の損傷、関節包の断裂、あるいは腱が骨の一部を引きちぎる剥離骨折など、関節内部の軟部組織が急激な外力によって破壊された状態を指します。
損傷して千切れかけた靭帯や腱をさらに引っ張れば、傷口を無理やり広げ、関節内の出血と腫れを劇的に悪化させる結果にしかなりません。最悪の場合、指の第1関節が曲がったまま伸びなくなる「槌指(マレットフィンガー)」や、関節が横にグラグラと揺れる動揺関節の後遺症を残すリスクがあります。
受傷直後に行うべきは、無謀な整復ではなく、速やかなバレーボールの突き指に対する応急処置であるRICE処置の徹底です。痛めた指を速やかに保護し(Rest)、氷嚢やコールドスプレーで15〜20分程度冷却し(Ice)、適度な圧迫で内出血を抑え(Compression)、心臓より高い位置へ指を挙げる(Elevation)。この迅速な処置の有無が、その後の回復期間を数日から数週間単位で左右します。