絶望の底に沈み、クラスメイトの誰が声をかけても拒絶し続けた平田を救い出したのは、影の支配者である綾小路清隆でした。1年生編11巻の夜、雨が降りしきる公園のベンチで、綾小路は平田と1対1で対峙します。
綾小路は平田に対して安っぽい同情や慰めの言葉を一切かけませんでした。平田が抱える「全員を救いたい」という博愛主義の本質が、実は「自分が傷つきたくない」「過去の罪悪感から逃れたい」という自己満足とエゴ(メサイアコンプレックス)に過ぎないことを冷徹に突きつけたのです。
その上で綾小路は、「お前がこれまでクラスのために尽くしてきた行動そのものは、決して無意味ではなかった」「全員を救えない不条理な現実の中で、それでも足掻くことに意味がある」と語りかけ、平田の本音をすべて吐き出させました。平田は綾小路の胸で号泣し、長年自分を縛り付けていた偽善の呪縛から解き放たれました。
この救済を経て、平田洋介は「現実を受け入れた上で、手の届く仲間を命懸けで守る真のサポーター」として覚醒を遂げました。2年生編以降の平田は、堀北鈴音を支える副リーダーとして、また綾小路の意図を察して阿吽の呼吸で動く最も頼もしい味方の一人として、目覚ましい活躍を見せています。