吉高由里子の名前を一躍全国区にしたのが、2009年公開の映画『蛇にピアス』だ。金原ひとみの芥川賞受賞作を蜷川幸雄が映画化したこの作品で、吉高は舌を分割した少女・ルイを演じた。
この作品での彼女は、従来の日本の若手女優像を根本から覆す衝撃的な熱演を見せた。痛みを伴う身体改造に耽溺する少女の役柄は、当時20歳だった彼女の内面に潜む“生きづらさ”と共鳴し、観る者の心をえぐる生々しさを放った。結果として、吉高はこの一作で第32回日本アカデミー賞優秀主演女優賞をはじめ、複数の映画賞を総なめにすることになる。
ここで当時の彼女と現在の彼女を比較すると、その変化の大きさに改めて驚かされる。『蛇にピアス』当時のインタビューでは、自身の身体や感情を削るようにして役と向き合う姿勢が強く見られた。一方、2026年のNHK大河ドラマ『光る君へ』で主演を務めた際の彼女は、現場を俯瞰し、共演者やスタッフとの調和を重視する“成熟した座長”の姿を見せていた。