京都のグルメシーンといえば、伝統的な京料理や洗練された割烹が注目されがちですが、市民の生活に最も深く根付いているソウルフードの一つが串八の串揚げです。白梅町本店は、その一大チェーンの原点であり、特別な活気とアイデンティティを保ち続けています。
暖簾をくぐると、オープンキッチンのカウンターから小気味よい油の揚がる音が響き渡り、活気あふれるスタッフの声が店内を満たします。高級割烹のような敷居の高さは一切なく、かといって大衆酒場のような雑多さとも異なる、清潔で温かみのある空間設計が徹底されています。この「誰でも気兼ねなく美味しい揚げたてを食べられる空間」こそが、京都の幅広い世代を惹きつけてやまない最大の原動力です。
外食産業の動態調査を見ても、一般的な居酒屋業態の客単価が上昇傾向にある中、串八は良質な素材と職人の手作業を維持しながら、お腹いっぱい飲み食いしても1人あたり2,500円〜3,500円前後という驚異的な価格帯を維持しています。学生時代に通い詰めた人々が親となり、今度は自分の子どもを連れて訪れるという「世代循環のファンベース」が強固に確立されています。