『君がいない』のルーツを辿ると、当代屈指のメロディメーカーであり、ZARD初期のサウンドを支えたシンガーソングライター・栗林誠一郎氏の存在に行き当たります。原曲は、栗林氏が1991年2月に発表したアルバム『You Never Know』に収録されていた同名楽曲(作詞:向井玲子氏、作曲:栗林誠一郎氏)でした。
原曲は落ち着いたAORテイストのミディアムナンバーで、大人の男性の喪失感を静かに歌い上げる構成でした。これに目を留めたプロデューサー陣と坂井泉水さんは、メロディの持つ疾走感とエモーショナルな響きを再構築することを決断。アレンジャーの明石昌夫氏によって、90年代J-POPの王道を行く8ビートのドライヴィングなポップロックへと大胆に変貌を遂げました。
最も大きな改変は、坂井泉水さんによる歌詞の全面的な書き換えです。男性的な諦念が漂っていた世界観から、日常の些細な仕草やすれ違いをリアルに捉えた女性視点のビタースイートな物語へと昇華させました。