「虫がすでに取れたから大丈夫」と安心するのは早計です。屋外で活動する人々が直面する見過ごせない脅威に、ショウジョウバエ科の「マダラメマトイ」などが媒介する線虫類、すなわち東洋眼虫などの寄生虫感染症(東洋眼虫症)があります。
メマトイは人間の眼球から分泌される涙やタンパク質を好んで目の周りに飛来し、接触したわずかな瞬間に幼虫を結膜嚢(まぶたの奥の袋状の空間)へ産み落とします。成虫は体長10〜15mm程度の白い糸状の虫であり、結膜嚢内を活発に這い回ります。
感染初期は軽度の異物感や目やに程度ですが、放置すると以下のような深刻な症状へ進行します。
- 結膜の慢性的な充血と濾胞形成:寄生虫の機械的刺激と排泄物による激しいアレルギー性炎症。
- 角膜混濁と視力障害:虫体が角膜上を移動する際の微小外傷が重なり、視界が白濁する。
- 幼虫の増殖と眼球内移行リスク:放置期間が長期化すると虫体数が増加し、摘出手術が必要になる。
また、初夏から秋にかけて水田や草むら周辺に生息する「アオバアリガタハネカクシ」などの甲虫類は、体液中に「ペデリン」という強力な毒素を含んでいます。虫が目に入った際に反射的につぶしてしまうと、ペデリンが眼球全体に広がり、「線形皮膚炎」ならびに激しい角結膜炎を引き起こします。虫が排出された後でも、数日後に強い痛みや白目のゼリー状の腫れ(結膜浮腫)が現れた場合は、寄生虫や化学毒素の潜伏を疑う必要があります。