根津釜竹を語る上で絶対に外すことができない要素が、その唯一無二のロケーションと建築設計です。店舗の核となっているのは、明治43年(1910年)に建てられた歴史ある石蔵。この歴史的建造物を再生するにあたり、設計を手掛けたのが国立競技場などを設計した世界的建築家・隈研吾氏です。
石蔵ならではの重厚でひんやりとした大谷石の壁面や木造トラスの梁をそのまま生かしつつ、敷地内の緑豊かな日本庭園と対峙するように一面のガラス窓を配置。新旧の素材が美しく調和した空間デザインにより、春の新緑、夏の木漏れ日、秋の紅葉、冬の静けさと、訪れる季節や時間帯によって刻一刻と異なる陰影を見せてくれます。
店内には、職人の手元を望みながら気兼ねなく過ごせるカウンター席やテーブル席のほか、庭園の緑を間近に感じられる座敷席が用意されています。都心に位置しながらも、まるで古都の隠れ里や瀟洒な旅館に迷い込んだかのような錯覚を覚えるこの空間こそが、料理の味わいを何倍にも引き立てる無上の調味料となっているのです。