気象情報で「神奈川県内の降雨不足」や「連続真夏日」が報道されると、SNS上では「宮ヶ瀬ダムの貯水率が60%台まで落ちている」「相模ダムの湖底が見え始めているのではないか」といった不安の声が散見されます。しかし、現地の運用実態を丹念に追跡すると、その多くはダムの管理運用ルールに対する誤解に起因しています。
その最たる原因が、6月中旬から10月中旬にかけて設定される「夏期制限水位(洪水期制限水位)」の存在です。ダムは満水にしておけば安心というものではなく、台風や線状降水帯による急激な出水を受け止めるため、夏場は意図的に水位を数十メートル引き下げ、空き容量(洪水調節容量)を確保しています。
この期間、ダム管理事務所のデータ画面に表示される「現在の利水容量に対する貯水率」は、満水時と比べて見かけ上のパーセンテージが低く映ることがあります。これを見た一般ユーザーが「枯渇寸前ではないか」と早合点してしまうケースが後を絶ちません。実際の現場では、想定された治水計画の枠組みの中で計算し尽くされた放流と貯水が行われており、数字の低下が直ちに給水制限へと結びつくわけではありません。