ネット上のマナー解説記事では、しばしば「『確かに承りました』は完全な誤用であり、絶対に使ってはならないNG表現」と断定的に記述される場面が見られます。しかし、これは言語学的な実態を無視した過剰反応です。
言葉の正誤を冷静に分析すると、「承る」という謙譲表現自体は正しく機能しており、失礼にあたるかどうかは「何を承ったか」という目的語の性質に大きく左右されます。
例えば、目上の人への敬語表現として、相手からの「業務指示」や「スケジュール変更の要望」に対して「確かに承りました」と返すのは、評価の視線が混じるため推奨されません。しかし、「重要書類をお預かりした」「現物サンプルの納品を受けた」という物理的な物品受領の文脈であれば、「確かに拝受いたしました」「確かに受け取りました」と同様に、「品物が紛失せず確実に手元に届いた」という客観的事実を担保する表現として自然に成立します。
要するに、相手の「意思・指示」に対して「確かに」と受諾するのは違和感を生みますが、「物品・情報の到達確認」に対して使う分には、確認完了のシグナルとして機能する余地があります。何でも一括りに禁止するのではなく、文脈を見極めて使い分ける視点が欠かせません。