タトゥースタジオのカウンセリングにおいて、男女問わずリクエストが途切れない薔薇。大阪・心斎橋の老舗「LUCKY ROUND TATTOO」や東京の人気スタジオの実例を見ても、薔薇はトラディショナルから写実的なブラック&グレーまで、あらゆるスタイルで描かれ続けています。なぜこれほどまでに人を惹きつけるのでしょうか。
その根底にあるのは、「美しさ」と「危険性」が同居する独特の二面性です。西洋のことわざ「No rose without a thorn(棘のない薔薇はない=完全な幸福には苦痛が伴う)」に象徴されるように、薔薇タトゥーの棘(トゲ)は、他者からの安易な侵入を拒む「防衛本能」や「自立心」を表します。臨床心理学的な観点から言えば、傷つきやすい自分を守るための強固な心理的バウンダリー(境界線)を皮膚の上に視覚化する行為とも解釈できるのです。
愛を象徴する柔らかな花弁と、触れる者を傷つける硬い棘。歓喜と苦難が表裏一体である人生そのものを肯定するシンボルとして、薔薇は数世紀にわたり選ばれ続けています。