駅伝ファンの一部には、今なお「日大の躍進は留学生がいるからに過ぎない」という根強いステレオタイプが存在します。しかし、これは箱根駅伝および大学駅伝の競技構造を理解していない極めて浅薄な見立てと言わざるを得ません。
箱根駅伝の予選会ルールにおいて、留学生の出走は各校「1名のみ」に限定されています。予選会の総合成績は、各校上位10名の合計タイムによって競われます。仮に留学生が1時間00分台の驚異的な個人トップタイムを記録したとしても、生み出せるアドバンテージは日本人トップ選手(1時間02分台)と比較して1分半〜2分程度に過ぎません。
10名の合計タイムが10時間30分〜40分前後の争いになる予選会において、2分の貯金は後続の日本人選手2〜3人が失速するだけで一瞬にして蒸発します。予選会を5位前後や上位で突破するためには、留学生を除く残り9名の日本人選手全員がハーフマラソンを63分台前半から64分前後で確実に揃える走力が絶対に不可欠なのです。
つまり、「留学生が速いから勝てる」のではなく、「留学生が稼いだアドバンテージを絶対に手放さない日本人層の厚みを構築できた」ことこそが真の勝因です。留学生をエースとして敬意を払いつつも、彼らに甘えないチーム全体の自立こそが、日大が遂げた最大の構造的ブレイクスルーでした。