首都圏の主要駅構内や駅前を中心に、鮮やかな水色と白の看板で親しまれていたベーカリー「HOKUO(北欧トーキョー)」。2026年2月28日をもって全39店舗が一斉閉店した出来事は、多くの通勤・通学客やパン愛好家に大きな衝撃を与えました。親会社であった小田急電鉄の公式発表資料や決算データによると、HOKUOの閉店理由はコロナ禍による駅利用者の大幅な減少と、小麦やバターをはじめとする原材料価格・エネルギーコストの高騰に伴う採算性の悪化でした。鉄道事業全体の構造改革を進める中、グループ内のベーカリー事業を老舗「ドンク」との業務提携へシフトしたことが決定打となりました。
現在、ネット上やSNSでは「HOKUOパンが復活するのではないか」という噂が定期的に浮上します。しかし、2026年最新の業界調査において、首都圏でのチェーン展開によるブランド復活の公式な計画は存在しません。現在、かつてHOKUOがあった駅ナカの多くの区画は「DONQ EDIT」などの新業態へ転換され、定着しています。
一方で、北海道・札幌にルーツを持つ「北欧(旧・株式会社北欧)」の系譜をたどると、異なる景色が広がっています。かつて札幌市西区の巨大なパン工場や直売所で愛された味は、事業再編や工房移転を経ながらも、創業者の志を継ぐ職人たちによって一部のベーカリーや催事、工場直売のルートで脈々と受け継がれています。「あの素朴なクインシーや北欧カレーパンをもう一度食べたい」というファンの声は根強く、地域密着型のローカル販売や冷凍通販を通じて、そのDNAは静かに息づいています。