放送当時からアパレル業界に絶大な影響を与え、今なおファッション誌の特集で参照されるのが、小泉今日子が魅せた吉野千明のファッション&ヘアスタイルです。千明の装いには、若作りに走る痛々しさは一切なく、かといって所帯じみた無難さに逃げることもない、働く大人の洗練されたリアリズムが宿っていました。
特に話題を呼んだのが、劇中で千明が愛用したブランドの数々です。 オフィシャルな場や制作現場で羽織るジャケットには、ICB(アイシービー)のデニムライクツィードニットジャケットなどをセレクト。ツイードの持つ格式高さと、ニット素材特有のストレッチ性を融合させたアイテムは、スタジオ収録やデスクワークで激しく動くプロデューサーの機能美を体現していました。
また、バッグのスタイリングも見事でした。日常使いのトートから特別なシーンのハンドバッグに至るまで、機能性と品格を兼ね備えたアイテムを巧みに投入。なかでもMICHAEL KORS(マイケル・コース)の「スカーレット ミディアム イースト ウェスト」など、上品なカーキやニュアンスカラーのレザーバッグをスーツやカジュアルなワイドパンツに合わせる着こなしは、大人女性の通勤コーディネートの定番となりました。ハイブランド一辺倒に偏らず、ティファニーの繊細なネックレスやDeuxième Classe(ドゥーズィエム クラス)のベーシックな上質ニットを散りばめる甘辛ミックスの妙技は、今見ても極めて新鮮です。
そして彼女のアイコンとなったのが、潔い前下がりショートボブ〜ショートヘアです。襟足をすっきりとタイトに収め、サイドに自然なボリュームと毛流れを残したシルエットは、小顔効果とともに首筋を美しく見せる黄金比率。多忙な朝でも手ぐしとバームだけでエフォートレスに決まり、耳元の大ぶりなシルバーピアスやイヤリングを際立たせるヘアスタイルは、美容室でのオーダーが殺到する社会的ブームを巻き起こしました。