柄本明と奥さん・角替和枝さんの絆|闘病の真相と名優一家の現在

柄本明と奥さん・角替和枝さんの絆|闘病の真相と名優一家の現在

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穏やかな日常を激変させたのは、2017年秋のことでした。角替和枝さんの体に異変が見つかり、精密検査の結果下された診断は原発不明がん。がんの発生部位(原発巣)が特定できないまま転移巣が先に見つかる極めて診断と治療が難しい希少がんであり、発見時にはすでに病状が進行していました。

公表されなかった約1年間の闘病生活において、角替さんと柄本明が下した決断は「延命のみを目的とした無理な長期入院を避け、住み慣れた下北沢の自宅で家族とともに過ごす」という選択でした。角替さんは抗がん剤治療を受けつつも、体調の良い日には下北沢の馴染みの喫茶店に顔を出し、最後まで日常の手触りを手放そうとしませんでした。

2018年10月27日午前6時15分、角替さんは世田谷区の自宅で息を引き取りました。64歳という早すぎる旅立ちでした。最期の瞬間、病床の傍らには徹夜で付き添っていた夫・柄本明の姿がありました。劇団関係者によれば、劇的な別れの言葉が交わされたわけではなく、眠るように呼吸が静かになっていく妻の手を柄本明が握りしめ、静かに看取ったといいます。

訃報の直後、所属事務所を通じて出された柄本明の直筆コメントは「今はただ、深い悲しみの中にあります」という極めて短いものでした。長年連れ添った伴侶を自宅で看取った男の、言葉にならない痛切な慟哭がその一文に凝縮されていました。

松本 悠斗
著者

松本 悠斗

マネー知識やキャリア形成に役立つノウハウを、初心者にも分かりやすく解説するのが得意です。