一般的に、外食産業における原価率は約30%〜35%が適正水準とされています。しかし、生ビールを200円前後で提供したり、大ぶりな焼き鳥を安価で提供し続けたりするチェーンは、どのような収益構造によって利益を残しているのでしょうか。現場取材と決算資料から見えてきたのは、極限まで計算された3つの経営戦略です。
第1に、「ドリンクとフードの粗利ミックス戦略」です。例えば、生ビールや目玉串を原価率50〜60%近い「客引き商品(キラーアイテム)」として低価格で打ち出す一方、原価率が10%未満に抑えられるハイボール、サワー類、スピードメニュー(枝豆、冷奴、キャベツ等)を同時に注文してもらうことで、店舗全体の粗利率を65%前後に着地させています。
第2に、「セントラルキッチンと食材の一括大量調達」が挙げられます。鳥貴族が代表例であるように、取り扱うメニューを鶏肉料理に集中させ、日本国内の契約農家から部位を一括で買い上げることで仕入れ単価を劇的に抑制。工場での一次加工を標準化し、店舗内での仕込みロスと廃棄率を極限までゼロに近づけています。
第3に、「DX導入による人件費とテーブル回転率の最適化」です。モバイルオーダーシステムの普及により、注文受付のためのホールスタッフ稼働が従来の半分以下に削減されました。さらに、料理の提供速度を高めることで客の滞在時間を適正化(平均90〜120分)し、1席あたりの1日回転数を3回転以上に引き上げることで、薄利多売のビジネスモデルを強固に成立させています。