桑の木を相手にする際、果実そのもの以上に物理的なトラブルを引き起こしやすいのが、枝や未熟なヘタを傷つけた際に滲み出る乳白色の液体です。この桑の木白い樹液かぶれは、肌が敏感な人や漆(ウルシ)科植物にかぶれやすい体質の人が触れると、接触性皮膚炎を引き起こし、赤みやかゆみ、水疱を生じさせる原因になります。収穫時に手袋を着用せず素手で枝を折ったり、青い実を無理にもぎ取ったりして樹液に触れることは避けるのが鉄則です。
野山で収穫を楽しむ際には、桑の実収穫時期見分け方を正確に把握しておく必要があります。地域や気候によって前後するものの、平地での旬は概ね5月下旬から6月中旬にかけての短い期間です。安全に食べられる熟度を見極める指標は極めて明瞭です。
枝を軽く揺らすだけでポロリと手元に落ちるような、黒みを帯びた濃い紫色の実だけが完熟の証です。赤みが残っている実は酸味が強いだけでなく、微量の刺激性成分が残留している可能性があるため、収穫対象から外すのが賢明です。
また、里山などで採取した際の桑の実生食危険性も見逃せません。桑の実は非常に柔らかく皮が極薄であるため、オウトウショウジョウバエなどの害虫が産卵しやすく、肉眼では確認しづらい微小な幼虫(いわゆるウジ)が果肉内部に入り込んでいるケースが多々あります。さらに、野鳥の糞や土壌由来のエキノコックス等の寄生虫卵、大気中の塵埃が付着しているリスクも排除できません。水洗いをせずにその場で摘んで口に放り込む行為は、衛生管理の観点から絶対に避けるべきです。