群れを統率する本能を持つ牧羊犬 (ハーディンググループ) の血筋は、現代においても色褪せることはない。かかとを軽く噛んで家畜を動かす「ニッピング」や、俊敏な方向転換で群れをまとめる反射神経は、適切な出口を与えなければ家庭内でのトラブルの火種となる。その強大なドライブをポジティブに昇華させる最良の舞台が、ドッグスポーツ (アジリティ) やフリスビー競技だ。
ハードルを飛び越え、スラロームをすり抜け、ハンドラーのわずかな手振りと声のトーンを察知して疾走するコース上において、彼らはその存在理由を爆発させる。人間と呼吸を完全に同期させ、複雑な障害物をミリ秒単位の判断でクリアしていく姿は圧巻だ。こうしたスポーツを通じて本能を満たされた個体は、家の中では驚くほど穏やかで従順なパートナーへと変貌を遂げる。