仏教各派のなかでも、お盆に対するスタンスが際立って明確なのが浄土真宗(本願寺派・大谷派など)です。他宗派とお盆の捉え方がどのように異なるのかを理解すると、不必要な混乱を防ぐことができます。
曹洞宗、臨済宗、真言宗、日蓮宗などの伝統宗派では、一般にお盆(盂蘭盆会=うらぼんえ)をご先祖の霊をお迎えしてもてなし、供養を捧げる「追善供養」の好機と位置づけます。そのため、13日の迎え盆でお墓へ出向き、提灯の明かりにご先祖の霊を乗せて自宅へ連れ帰る風習が広く行われてきました。
これに対し、浄土真宗におけるお盆は「歓喜会(かんぎえ)」と呼ばれます。故人はすでに仏となって極楽浄土から私たちを見守っているため、霊を呼び戻すための迎え火や送り火、精霊馬(キュウリやナスで作る乗り物)の設置は行いません。お墓参りについても「留守のお墓を拝む」のではなく、阿弥陀如来の慈悲に感謝し、仏法を聞く契機としてお墓や仏壇に手を合わせるという位置づけになります。
つまり、浄土真宗であっても「お盆にお墓参りをしてはならない」という禁忌は一切なく、参拝する際の意味付け(追善供養ではなく報恩感謝)が異なるに過ぎません。この教義の違いを知ることで、親族間の無用な軋轢を避けることが可能になります。