サツマイモは中南米熱帯地域原産の作物であり、生育には高い温度を必要とします。植え付けの絶対的な基準は「平均気温18℃以上、安定した地温15℃以上」です。本州の温暖地や暖地では5月中旬から6月下旬が最大の適期となります。4月の早い段階で苗が出回るケースも見られますが、晩霜や低温に遭遇すると苗が低温障害を起こし、活着(根が土壌に定着すること)が極端に遅れるため注意が必要です。
栽培の成否を分ける第一の関門は「健全な切り苗の選定と保管」にあります。節間が詰まり、葉にツヤがあって茎が太さ5〜8mm程度に充実した長さ25〜30cm(本葉5〜7枚)の苗が理想的です。購入した切り苗がすぐに植えられない場合は、新聞紙を湿らせて茎の基部を包み、直射日光の当たらない涼しい場所(13〜15℃)に立てて保存することで、3〜4日間は品質を落とさずに維持できます。あえて半日陰で1〜2日置き、少し萎れさせてから基部を数時間水につけて吸水させると、発根ホルモンが活性化して土壌での活着が劇的に早まるという現場の知恵も実証されています。
土作りにおいては、水はけの確保が最優先課題です。サツマイモは過湿を嫌うため、幅60〜70cm、高さ25〜30cmの高畝(たかうね)を造成します。さらに黒色ポリエチレンマルチ(黒マルチ)の展張が極めて効果的です。農業改良普及センターなどの試験データによると、黒マルチを使用することで地温が2〜3℃上昇し、初期生育が約2週間前倒しされるほか、土壌の適度な水分保持、雑草繁茂の抑制、降雨による肥料分の流亡防止など、多面的な増収効果が得られます。