2026年初頭、首都圏の急性期病院救急外来には、目や喉の激痛を訴える患者が相次いだ。原因の多くは、家庭内や職場での過度な除菌作業。塩素系漂白剤や高濃度除菌剤を独自にスプレー容器に詰め替え、室内へ散布したことによる急性呼吸器刺激症状だった。
次亜塩素酸ナトリウムは強アルカリ性であり、極めて高いタンパク質分解能力と酸化作用を持つ。ウイルスや細菌の細胞壁を破壊する力は強大だが、人間の眼粘膜や気管支粘膜に対しても全く同じ破壊力を発揮する。消費者の「スプレー=手軽に空間除菌」という誤解が、思わぬ健康被害を生み出し続けているのだ。