三色団子を眺めたとき、誰もが一度は「なぜこの順番で串に刺さっているのか」と疑問を抱いたことがあるはずです。市販品も伝統的な和菓子も、基本ルールとして串の先端(上)から「ピンク(赤)」「白」「緑」の順に並んでいます。この配置には、日本人が古来より大切にしてきた自然観と季節の物語が凝縮されています。
最も広く知られているのが、「春の情景の移ろい」を表しているという説です。一番上のピンクは春の陽光を浴びて咲き誇る桜の花や蕾、真ん中の白は冬のなごりを残す残雪や澄んだ空気、そして一番下の緑は雪の下から力強く芽吹くヨモギや若草を象徴しています。つまり、1本の串の中で「冬から春へ、そして初夏へと向かう生命の息吹」を立体的に描いているのです。
また、民俗学や年中行事の観点からは、邪気払いと開運招福の祈りが込められています。古来、赤(紅)は魔除けの力を持つ神聖な色、白は心身の清浄と無病息災、緑は生い茂る大地と長寿を意味します。三色団子がひな祭りの定番行事食となった背景にも、冬から春の季節の変わり目に体調を崩しやすい子どもたちを病魔から守り、健やかな成長を願う親の切実な祈りが重なっています。
歴史的には、慶長3年(1598年)に豊臣秀吉が京都の醍醐寺で催した「醍醐の花見」が発祥の契機と伝えられています。全国から集めた700本の桜の下、花見のために特別に考案された色鮮やかな団子が供され、これが庶民の間へと広まり、現在の三色団子の文化へと昇華していきました。