エロスとは何か?ギリシャ哲学とフロイト心理学が暴く愛の本質

エロスとは何か?ギリシャ哲学とフロイト心理学が暴く愛の本質

エロスとは何か?ギリシャ哲学とフロイト心理学が暴く愛の本質の背景について、最新情報を基に徹底解説します。

エロス(古希: Ἔρως, Eros)の歴史的ルーツは、紀元前8世紀頃の詩人ヘシオドスが著した『神統記』にまで遡ります。カオス(混沌)やガイア(大地)とともに宇宙の始まりに誕生した原初神として描かれたエロスは、神々と人間を惹きつけ、あらゆる生命の創造を促す宇宙生成の根源的エネルギーそのものでした。

時代が下るにつれ、エロスは美と愛の女神アフロディテ(ローマ神話ではウェヌス/ヴィーナス)の従者または息子として擬人化され、弓矢を手にした気まぐれな美少年神としてのイメージが定着していきます。この神話的表象がラテン語圏に導入された際、クピド(Cupido / 英語名キューピッド)あるいはアモール(Amor)と翻訳され、後世の西洋絵画やルネサンス美術において親しまれる有翼の愛の天使像へと変容を遂げました。

エロスを巡る神話の中でも白眉とされるのが、アプレイウスの『黄金の驢馬』に挿入された「エロスとプシュケー(魂)の婚姻譚」です。人間である王女プシュケーが激しい試練を乗り越えてエロスとの永遠の結合を果たすプロットは、肉体的な盲目の一目惚れが精神的な自覚と苦難を経て高次の愛へと昇華する過程を象徴しています。エロスとは古来、魂(プシュケー)と結びついて初めて真の調和をもたらす力として捉えられていたのです。

田中 結衣
著者

田中 結衣

グルメと旅を愛するフリーライター。全国各地の隠れた魅力を独自の視点から紹介します。