冷凍した551の豚まんを温める際、多くの人が直面するのが電子レンジ蒸し器違いによる歴然とした食感の差です。電子レンジはマイクロ波(電磁波)によって食材内部の水分子を激しく振動させ、摩擦熱で温める仕組みを採用しています。しかし、小麦粉を発酵させた気泡を多く含む豚まんの皮は、電磁波が集中すると内部の水分が一気に気化して外部へ逃げてしまいます。水分を失った小麦グルテンとデンプンは「デンプンの老化(β化)」を急激に起こし、加熱直後は柔らかくても数分冷めただけで石のように固くなってしまうのです。
一方で、本格的な蒸し器やせいろを用いた加熱は、飽和水蒸気の「潜熱(凝縮熱)」を利用します。100℃の蒸気が冷たい豚まんの表面に触れた瞬間、蒸気は水滴へと相変化しながら膨大な熱量を皮全体へ均一に与えます。この過程で生地に適度な水分が絶えず補給されるため、皮が固くならない温め方として熱力学的にもっとも理にかなっているのです。さらに、中身の豚肉とダイスカットされた玉ねぎの脂がゆっくりと融点に達し、肉汁が皮の内側にじんわりと染み渡ることで、店舗の蒸し立て特有の「もっちりとしてほんのり甘い皮」が完全復活を遂げます。