五月山に整備された複数の展望ポイントの中で、なぜ五月平展望台の夜景はこれほどまでに愛好家やリピーターの心を掴んで離さないのでしょうか。その最大の要因は、標高約230mに位置する木製展望デッキから見渡す「空間の抜け感」と「圧倒的な静寂性」にあります。
五月山の代表的なビュースポットとして真っ先に名が挙がるのは、ドライブウェイ序盤のヘアピンカーブに位置する「秀望台」です。愛宕神社の鳥居越しに望む秀望台の夜景は、斜張橋のライトアップと阪神高速のテールランプが目の前に迫るドラマチックな構図で知られます。しかし秀望台は車道のすぐ脇にあり、車の走行音やヘッドライトのチラつきが絶えず、滞在スペースも限られています。
対照的に、車道から森の小道を歩いた先に広がる五月平展望台は、車の騒音から完全に隔絶された別世界です。南向きに大きく開けた視界には、池田・川西の市街地から遠くあべのハルカス、梅田周辺の高層ビル群、そして大阪国際空港(伊丹空港)の滑走路へと続く誘導灯の幾何学的な光列までが一望できます。漆黒の暗闇の中で航空機の離着陸を静かに追う時間は、訪れる人々に都市の日常を忘れさせるカタルシスをもたらします。